ひとつひとつの具材が丁寧に詰められ、作り手の 心 が伝わってくるようなお弁当だ。
たくさんの具材が丁寧に詰められている |
すだれのような蓋がされたお弁当。このすだれ状の蓋をめくると、中からはたくさんのおかずが丁寧に並べられている。
蓋がすだれっぽい |
黒豆が入ったおこわが美味しそうだ。
先ほど、「湖北のおはなし」の製造元である井筒屋さんのホームページを見てて知ったんだけど、おこわの具は季節によって変わるとのこと。冬の今は黒豆だけど、春は山菜、夏は枝豆、秋は栗になるとのこと。また別の季節にも食べたいものだ。
栗と一緒に炊き上げられた、白おこわを食べると、ほんのりいい香りがする。この香りはどこかで感じたことがある。何の香りかな?と考えを巡らせると、桜餅を食べる時に感じる匂いだ。
そう、桜の花がおこわの下に敷かれていて、とてもいい香りだ。さっそく、ほっこりと和む。
この下には見えないけど桜の葉が敷かれている |
おかずの中で一番目立つのは玉子焼き。パクリと食べると、出汁がしっかりときいていてすごく美味しい。
一番目立つ玉子焼き |
滋賀県民なら大好きな海老豆。
程よい固さに煮られた豆には、しっかりと甘辛い醤油味が染み込んでいる。小エビと一緒に食べるととても美味しい。ご飯がどんどん進む。
海老豆最高 |
葱とおあげのぬたはシャキシャキとした歯ごたえと、すっきりとした酸味が楽しめる。
そして、このお弁当の主役と書かれている 鴨 をパクリ。うん、すごく柔らかい。そして、適度な脂身があり、ジューシー感たっぷりだ。粒胡椒がピリリと効いているのもいい。
メインの鴨! |
まぁるい蒟蒻にもしっかりと味が染み込んでいる。大きな小芋丸煮はボリューム満点。お腹いっぱいになる。
かしわは少し固いけど、甘辛い味付けがとても良い。
蒟蒻と小芋 |
このお弁当のいいところは、「丁寧さ」がすごく感じられるところ。
ひとつひとつの品物が美味しいのはもちろんだけど、丁寧に作られ、丁寧に詰められている。
実は、前の週に東京で開催されていた京王百貨店の駅弁大会で「湖北のおはなし」は実演販売されていて、実演の様子をしばらく眺めていた。調理を担当する人が、用意されたひとつひとつの具材を、お弁当に詰めていく様子は本当に丁寧だった。
このお弁当には、じっくりと読みたくなるメッセージがある。
きびしくてながい湖北の冬です。まちから帰ってきたお嫁さんや、孫のためにおばあちゃんがそっともたせてくれたのが、このお弁当です。鴨は江州のご馳走です。雪あかりの炉ばたでときのたつのも忘れて昔ばなしを聞きながら湖北しぐれの車窓からびわ湖や伊吹山をながめながらお召しあがりいただけたらと・・・
夢いっぱいのお弁当でございます。
丁寧なメッセージと献立 |
また、『おこんだて』も丁寧に書かれている。
いつとはなしに近江富士や伊吹の山にしぐれるころ ふとそのそばのびわ湖は、あくまで透き通って、いやがうえにもあおい。最後に "あめ" を舐めながらお弁当を片付ける。
そのびわ湖の名産は、いし貝、川えび、小鮎、いさざ と静かにうつろいゆく。
なんとしても、このお弁当は鴨が主役です。粒こしょうで "ろーすと" しました。この主役をひきたたせる大切な脇役を吟味いたしました。かしわを鍬焼風にして胡麻をまぶし、永源寺の修行僧のたべものにはかかせないと言ふこんにゃくは、ゆっくり時間をかけて甘辛く田舎風にたきこみ、これに玉子焼き、葱とおあげの "ぬた" 毎年十五夜にお供えする小芋丸煮、おつけもんは、梅干に山牛蒡、赤かぶらを秋から冬にかけて、竹ざおにかけて干すのは、しがの里の風物詩です。
そして、白おこわ、桜の葉を下に敷き、ごはんとさくらの "葉っぱ" 一体になって・・・もちろん葉もお召しあがり下さい。
この他、具は春、夏、秋、冬、音もなくうつりゆく四季をとらへて山菜、枝豆、栗、くろまめと、あくせんとをつけて、おうかがいしたいそんな気持で日夜はげんでおります。
お口なおしには "あめ" をどうぞ。またまたご縁がありますように!
"あめ" はこの中 |
最後まで食べるととてもほっこりとした気分になれた。日本酒と一緒に食べるのが良いかな。
参考
湖北のおはなし |
(おわり)
0 件のコメント:
コメントを投稿